diary, なにがでるかな?子育て日記

本屋さんで、家にある絵本を読みたがるのはなぜ?

私が娘を
図書館や本屋さんへ連れて行ったときに
よくあることについてお話しします。

本屋さんや図書館って、
絵本が大好きな子にとっては、
夢のような場所ですよね。
目の前に未知の絵本がたくさん埋まっている
広大な絵本の畑、という感じ。

「さあ、好きなだけ見ていらっしゃい!」
と娘を解き放ち、
どんな絵本を選んでくるかと待っていたら…。

なんと、家や幼稚園にある絵本を持ってきて
「ねえこれ読んでー」
と言ってきたりするんです。

へ?なんで?わざわざ図書館(本屋さん)
にやってきたのに、
これなら家でも読めるじゃん!
と、こちらは拍子抜け。^_^;

こんな経験がおありの方
他にもいらっしゃるのではないでしょうか?


でも、ある時ふと、思いました。
「絵本って、本の形をしているけれど、
別に新しい情報を得るために
読んでいるわけではないもんなー。」
(そういう絵本もあるかもしれませんが)

じゃあなんで読んでいるかというと、
幸せな時間を味わうため、
もしくは、以前味わった幸せな時間を思い出して
もう一度幸せな気分になるため
なのではないでしょうか。


そんなぼんやりした考えを
改めて意識しなおしたきっかけが、
やはり娘と本屋さんへ行った時の出来事でした。


娘が本屋さんで、ある絵本を見て、
「あっこれ大好き!すっごくおもしろいんだよ!!!」
といって、
いかにおもしろいかを力説してくれました。
その絵本とは、「ぜったい あけちゃダメッ!」という絵本。
幼稚園でよく読んでもらうのだそうです。

ぜったい あけちゃだめ

https://www.nagaokashoten.co.jp/book/9784522436257/

モンスターが一匹出てきて、
ぜったいページをあけちゃだめだと言います。
それでも読者はもちろん
ページをあけますよね。
するとモンスターは
「なんで あけちゃうんだよー!」と
地団駄を踏むのですが
その様子がおもしろいのです。
モンスターは必死で
なだめたりすかしたり、
時にはおどしたりしながら、
なんとかしてページをめくらせまいと
するのですが、
読者はケラケラ笑いながら
どんどんページをめくっていく、
そんな絵本です。


私も絵本を作っている身として、
おこがましくはありますが
多少のジェラシーを感じながら(笑)
たびたびこういう
娘の「この絵本おもしろいよ!」ばなしを
聞く機会があるのですが、
娘が言うには、こういうことでした。


「◯◯先生が読むときが
一番おもしろいんだよ!
モンスターが『次あけたら大変なことがおきるよ!』
って言うんだけど、
そしたら年少さんとか小さい子は
ちょっとこわいね、って
なったりするんだー。
そしたら◯◯先生は、
『じゃあ あけるのやめとく?やめとこうか?』
って言うんだけど、
そしたら私たち(年長さん)が
『やだやだ!あけて!あけて!』って言うんだよ。
でも最後まであけても
年少さんは泣いたりしないよ。…」
などなど
嬉しそうに話してくれます。


よくよく聞いてみると、
この場合 娘が「好き!」と言っている
最大のポイントはどこかというと
絵本の 作品としてのうまさというよりは、
仲間と一緒に笑い合った思い出なのです。
そして、そんな素敵な思い出を作ってしまう絵本は
やっぱり素晴らしい!
ということなんだと思います。

もちろん「この絵本のこの場面が好き!」
というのがあるからこそ
仲間も自分も楽しめたわけで、
そんな風に楽しんでもらえるように
作者は日々工夫を凝らし
魂を注いでいるわけですが、

読者である子どもたちは
絵本そのものの面白さに加えて、
家族や仲間と楽しんだ思い出をブレンドして
脳にインプットしているのかもしれませんね。


ここで、
「わざわざ本屋さんや図書館に来たのに、
なんで家にある絵本を読みたがるんだろう?」
という疑問に戻ってみます。

なぜかって、それは、
幸せを反芻しているんですね。
幸せを味わい直しているんですね。


もしみなさんのお子さんが
家でいつも読んであげている絵本を
本屋さんで「これ読んでー」と言ってきたら、
それは、素敵な思い出を
作ることができている証拠なのかも。
あなたの愛情が
きちんと伝わっている
証拠なのかもしれませんね。

と言っても、ぜーんぶ私の仮説で、
なんの科学的根拠もありませんが
たぶんそうだと思います。
たぶんそうですよ。きっと。